私とフレンチ

トケイヤkitchenのカテゴリの中でもたくさんの方にご覧いただいてるカテゴリが「フレンチ」です。

ご家庭で楽しんでいただけるレシピで、ふだんの食卓にちょっとアクセントを添えていただける、そんなレシピを心掛けているのですが、フレンチはやっぱりちょっと特別な感じがして、喜んでいただけているのかなと思います。

それはとても嬉しいことで、私が唯一、きちんと学んだ料理のカテゴリがフレンチだからです。

私は今、仕事でワインに関わっています。
若い日々にありがちな紆余曲折を経て、辿り着いたのがワインのお仕事でした。

大学を出て最初に勤めた会社は、まったく畑違いでしたが、学生の頃飲食店でアルバイトをしたことがあり、そのときに料理って楽しいなと思っていました。

でもそれを仕事にしようとは思っていませんでした。
そこにはいろんな思いがあったと思います。

自営業の家に育った私には、「オフィス勤め」に過剰な憧れがあり、飲食店を経営するという選択肢がそもそもなかったのです。
でも料理は楽しいなと思っていました。

自分がアルバイトで経験して実際楽しかったこともありますし、それ以上に子供の頃から見ていた、母親が料理を楽しんで作る人だったということが大きいと思います。
母の手料理はいわゆる家庭料理も美味しかったし、好奇心旺盛な母はときどき子供の時分には名前も覚えられないような料理も作ってくれました。

お正月にはおせちのお重が五段、六段。
お祭りの日は〆鯖から手作りの鯖寿司に、子供の大好きなチューリップ唐揚げ、煮豚、エビフライに、大人になってからその良さがわかるようになった筍の木の芽和え。
クリスマスの骨付きもも肉のローストも忘れられません。

母を見て育った私には、料理は楽しいものだという考えが知らず知らずのうちに育まれていたのだと思います。

そんな自分がワインに興味を持ち、そうすると、もともとオタク気質な正確に火が点きました。
自分の選ぶワインを合わせる料理。
それがどうやって作られているのか、何を材料にこのソースが生まれているのか。
それを知りたいと思ったのです。
だからこそ、それを作ってみたいと思いました。

私はワインの修行をしようと決めたとき、最初の会社を退職しました。
そして、全日制二年のソムリエスクールという道を選びました。
その学校でお世話になった講師を務めていらしたソムリエさんが自営されているビストロでキッチンスタッフとして働かせていただいたのです。

そこでの日々は忙しく、あわただしく過ぎていきました。
時には泣きたい日もありました。
母の料理する姿を見て育ったとはいえ、みずからは食べる係の子供だった私は、本当に作るということをしたことがなかったからです。
すべてが刺激的で、すべてが衝撃的で、そして自分が何もできないことに歯がゆい思いをし、自分が何も知らないことに悔しい思いをした日々でした。

しかし今になって思えば、そこで学んだことは、学校で得た知識や体験とはまったく違う価値が私にはあります。

たとえばレシピそのものや材料が何でできているのか、そんな知識は母親から学んでいた料理もありました。
私の母は本当に料理が好きで好奇心旺盛でチャレンジもする人だったので、フランス料理も実家の夕飯で食べさせてくれていました。
母にとっては日常を非日常にアレンジするためでもあり、そして私たちはそのおかげでフレンチを身近に感じて育ちました。

それでも、そこで学ぶ本当のフレンチは食材の珍しさ、どう使っていいのかわからなかったスパイスや調味料の使い方、いろんな発見をさせてくれました。

さらに家庭料理ではわからなかった、食材や調理したメニューの保存方法を教えてもらえたのは、とても大きかったです。
下ごしらえをどこまでしておけば、このメニューをお客様の注文から15分でテーブルに出せるのか、
すべては家庭では学べないことでした。

結局私は料理人という未来を自分の姿として考えたことがなかったので、そのお店は一年弱でお暇をいただき、今の仕事につながるワインの道を進み、今に至っています。

それでもやっぱり料理は好きで、トケイヤkitchenを立ち上げました。
そしていざ料理を皆さんに見ていただくようになって気付いたのが、フレンチというカテゴリへのリアクションです。

私の中に料理のカテゴリに対する上下や優劣はありません。

個人で食べる立場になれば、和食も大好き、中華も大好き、フレンチもイタリアンもエスニックも、そして日本の洋食もぜんぶ大好き。
そのときの気分でどれを食べたいかはかわっても、どのカテゴリが一番なんてとてもいいきれません。

それでも、私の作る料理の中で、フレンチというカテゴリが皆さんに支持していただけているのは、私にあの日々があったからだと思っています。

少し前、私が修行中に使わせていただいていた、食材のメーカーさんとTwitterで再会することが出来ました。
そんな奇跡も私が少しだけであったとしても、フレンチの料理を仕事にしていた時代があったからかなと思います。

なんだか長い思い出話になりました。

フレンチだけではなく、私の好きな料理を食べたいときに作って、そのレシピを紹介してい、それがトケイヤkitchenのスタンスです。
それは変わりません。

でも、規制はおろか外出もできないゴールデンウィーク、少し余裕のある時間にトケイヤkitchenのデータを見ていて、フレンチのレシピ、記事を皆さんが楽しんでいただいてることがあらためて感じられて、なんだか思い出話と振り返りを混ぜ合わせたような、こんなお話をしてみたくなりました。

これからもトケイヤkitchenをよろしくお願いします!

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